ぺぇが考えるガイドのネタの話

vol.1 2019年5月10日


知床五湖を歩いていたら昨年まであったサルメンエビネの株がなくなっていました。多分、エゾシカが食べてしまったのでしょう。
ご存知の方はご存知でしょうが、私はこのサルメンエビネをネタに解説をしていたので、ひとネタ無くなってしまったことになり、新しいネタを考えなければなりません。

 
今年も5月10日から知床五湖のヒグマ活動期が始まります。昨年初めて試験に通ったガイドは今年がデビューとなります。
新人ガイドはどんな解説をするか、今必死にネタを考えているでしょうし、ベテランたちも今一度おさらいをして今年のヒグマ活動期に臨んでいるはずです。ガイドはそれぞれ独自のネタを持っていて、これを組み合わせて3時間のガイドツアーを作ります。

知床五湖のガイドは一周3㎞を3時間ピッタリで歩かなければならないというルールが定められています。ただ慣れていないガイドは3時間かけて歩くことがなかなかできず、前を歩くガイドに詰まってしまいます。追い越しができないルールもあるため、前方のガイドチームが解説をしている手前で、手持無沙汰で得意の解説場所が早く空かないか見つめている姿をよく見かけます。
上手なガイドは、前を歩いているガイドの解説場所を把握しているので、前が詰まりそうなポイントでは、解説時間を調整して詰まらないようにします。さらには後方のガイドが解説しやすいように時間調整を行う人もいます。上手なガイドが前後にいてくれると、とても3時間の解説がやりやすいのです。
 
この時間調整に必要なのが話のネタ。必ずしも解説しやすいポイントで止まれるとは限りませんので、 何もない場所でも解説できるような小さなネタ(小ネタ)をいくつも持っておく必要があります。いわゆる引き出しの多いガイドというやつです。
良いガイドは3時間の解説を起承転結のある物語のように話します。ポイントごとの解説が独立しているのではなく、解説同士が関わりあっていて、最後にガイド自身がお客様に伝えたいこと(起承転結の結)のため、3時間の間に話したすべての解説が関連しているような解説ができるのが良いガイドと言えるでしょう。

そんな解説をしたくても前述の通りイレギュラーな間が空いてしまうことがあるため、それを埋めるのが小ネタなのです。
この小ネタ。ガイドの『物語』を邪魔してしまうようでは意味がありません。イレギュラーな小ネタが挟まったことが、お客様に気付かれないように解説するのが優秀なガイドなのです。
 
今年は5名が来年の新しい登録引率者になるべく、半年にわたる研修を受けています。

新人ガイドの諸君!先輩ガイド達はたった3時間のガイドツアーでもここまでのことを考えているのだぞ。
ガイドは馬鹿ではなれないのだ!もっとも、頭のいい人はガイドになんかならないけれど…。